December 20, 2008

千住ArtPath2008 Day1 Report

東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科の専門分野研究成果を発表する、『千住ArtPath2008』にいってきました。
昨年初めて、サラウンドサウンドドラマの試聴で訪れてから早一年、今年はどんな作品が聞けるのだろうと胸躍らせて北千住にいってまいりました。

『ArtPath』とは、上述の様に音楽を中心とした芸術とそれを取り囲む様々な環境の研究ということで、いろいろな作品発表がありましたが、今回私が試聴・聴講してきたのは、特別企画でもある、『冨田勳サラウンドプロジェクト』を聞いてきました。

12:00からのスタートでしたが、混雑が予想されると思い、11:20頃会場に到着。
受付をすませ、どこか他の作品を試聴して時間を調整しようと思ったが、3階の会場前で待とうとしていたその時、背後に気配を感じました。神様仏様とのニアミスでした。

さて、会場について初めて解ったことがいくつか。
今回の『冨田勳サラウンドプロジェクト』は、昨年私達が拝聴した、『沢口真生サラウンドワークショップ』と同じく、在学生の皆さんの為の特別講義の中で制作されたサラウンド作品を、紹介&発表する内容でありました。
また、後半では冨田勳さんによる作品講評等が行われました。

肝心の内容は・・・・・。
素晴らしかったです!、今日2008年12月20日(土)に、ここ北千住に来れなかった方は不幸であります。約9作品の学生によるサラウンド音楽作品を聞くことが出来ましたが、どれも素晴らしい出来映えでした。
個々の作品をまた別途聞ける機会があると良いのですが、ホントはもっとじっくり一作品一作品について10倍くらい、話を聞く時間が欲しかったです。
という訳で、学生さんの作品内容については、詳細はかけませんが、当日一問一答で行われた質疑や、私が拝聴して、心に感じたポイントだけを、かいつまんでメモしておきます。

『(前置きあって)作品を作る時に、リスナーありきである。難解な音楽を作っても受け入れられない。これはハイドンやモーツアルトの時代であれば、王様がその役割をになっていたし、現代ならば一般の人がその役割を担っている。難解な物を独りよがりで作っていても・・・』

『とにかくサラウンドを普及させたい。ちまたで普及している簡易サラウンド機能も馬鹿に出来ない、そのような簡易サラウンド機能でも効果がある様に作らなければならない。私の作品は金太郎飴的な視点で作るときもある』

『作品を作る時、Stageの再現はあまり行わない。こちらがStageこちらが客席としてしまうと面白くない』

『今興味があるのは、私達が聞いている外側にも、音があるのではないか?』
『私達がふと道を歩いていて、クラクションが鳴ったとする。振り返ると、今まで聞いていた左右の配置が全く逆になる。これを再現するにはかなりのテクノロジーが必要だが、人間にはそのような素晴らしい演算の機能があり、これがとても興味深い』
『電車に乗っている人を外から見ていると、皆車窓のどこかに焦点があっているが、ある一点を見つめながらも、移動によって、その視点が動く。目の玉の動きを見ているとこれはとても面白い』

『ミキシングを突き進めていくと、欠点は無くなっていくが、同時に魅力もなくなる』

といった辺りの興味深いお話が聞けました。

作品を通して私が感じたことも、簡潔にまとめておきます。
左右の音楽的バランスをうまく使っていたと思いました。
(L-SL→R-SR→L-SL→R-SR)の様な切り替えがとても効果的に使われてました。
また、Cicle上の移動についてはこれも興味深いポイントがありまして、ずっとぐるぐる何周も音を回していた音源はほとんどなく、ほとんどが、半周180°程度で止めていたのが印象的でした。これも何か工夫なのでしょう。

また、全体的な各作品の音質について、中低域がとても自然な音質・音色に感じられました。今回の試聴が5.0だったのですが、制作過程では5.1の環境があったようです。
ミックス時に0.1成分を、フロントにこぼしてMIX時のBassManagement的な作業が行われたようですが、詳細はわかりません。

最後に感想ですが、誰もがまだ経験の浅いサラウンド音楽録音ですが、体験出来た学生の皆さんがとてもうらやましかったです。
9作品を制作された学生の皆さん、お疲れさまでした。
できれば、Surround2011で改めて皆さんの作品を拝聴出来る機会があるといいと思っております。このブログを見たら、連絡をおまちしています。
また、『サラウンドラジオドラマ』の作品試聴は時間の関係で聞けませんでしたが、改めて自分の中でのサラウンドに対する認識と、テンションが上がった今回のアートパスでした。

明日参加の皆さん、熱い想いをぶつけてきてください。
以上千住ArtPath2008 Day1 Reportでした。

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