November 21, 2008

Surround@InterBEE2008 報告Part.3


2008-11-21 (Fri)13:00-16:00@幕張メッセ

音響シンポジウム:CMサラウンド制作 国内の状況(interBEE2008.pdf)に行ってきました。
特別ゲストを含む幅広いプレゼンターの方々の興味深いお話、大変参考になりました。

*このレポートは、あくまでも覚え書きで、内容の正確さを保証するものではありません。
Opening.沢口真生さん (株)パイオニア研究開発本部 / サラウンド寺子屋
昨年の音響シンポジュムのテーマは、世界のサラウンドCMの現状でした。
今年は、エンジニア、作曲家、広告代理店、広告メディアジャーナリストなどの多彩なパネラーを迎え、
動き出した、日本のサラウンドCMの現状と今後のビジネス展開をお話頂きます。

Panelist1.喜多真一さん Sony PCL / サラウンドCM研究会
はじめに:
・日本は2011年のデジタル放送へ向け、すごい勢いで変化しようとしている
・テレビCM制作費は減少傾向にあり、この傾向はさらに進む
・サラウンドのよる表現が、クオリティーCMとして一つの突破口になる

サラウンドCM研究会発足経緯:
・2008年1月31日発足6人からスタート
・サラウンド寺子屋の第50回サラウンドCM制作に参加し、刺激を受けた
・サラウンドCMが増えないのは、作る側の意識の問題”にするのではなく、
ポスプロの知人と、希望が持てるような活動ができなか呼びかけ発足

サラウンドCM研究会の活動報告:
・第1回体験サラウンドCMを主催し230名が参加
・体験視聴会では民生機での再生の確認も
・分科会で技術の勉強

サラウンドCM体験イベントでのアンケート結果 ]
・デジタル放送を視聴している人は50%を超えている
・サラウンドCMは効果的との認識ですが、制作には踏み切れない
・制作コスト増が問題とのアンケート結果

今後の課題:
・これまでのワークフローとの決別する
・最終的に責任を持つサウンドプロディーサーの登場が必要
・デジタル放送への技術的な対応
・音量よりクオリティーを目指す

まとめ:
・キーワードはアクションの継続

Panelist2.横山横山達夫さん 有限会社アップリンク(札幌からのサプライズゲストです!)
サラウンドCM(株)ハイポネックスジャパン制作課程:
・エンジニア側からサラウンドCMを提案することで実現
・スタジオの設備は5年前に整ったが、今回が初めてのサラウンド制作
・SD納品ではなく、HD納品が(サラウンドCMへの)後押しになった
・クライアントからの音の要望は、BGMにピアノ、蜂、富良野の小鳥
・富良野の自然のモチーフを生かすためにサラウンドCM化を熱く提案
・撮影前にサラウンド化が決定

・小鳥の声は臨場感のある音をめざし、Holophone H3-D
・蜂の音は、ガンマイクでモノ収録 ->サラウンドパンで移動
・ピアノは、生演奏を(スタジオの制約で)ステレオで収録
->結果的には、鳥の声・蜂とのサラウンド感のアクセントになった
・(サウンドデザインの方針は)あくまでもでも自然な音場をめざした

振り返って:
・サラウンドCMができることへの認知度が低い
・ますは、デモを作ることで制作の問題(何ができ何ができないのか、パンニング、LFE)が把握できる
・待っていては実現できないので積極的に提案することが必要

Panelist3.佐多直厚さん(株)電通
・「Surround」とは、sur-スーパー、すごい。round-めぐる、鳴り響く。
・サラウンドCMの実現には、クライアントを食いつかせる提案をする能力が必要
参考書;「コミュニケーションデザイン」「クロスイッチ」
・コストはSDからHDへは1.8~5倍だが、ステレオからサラウンドは+10-30パーセント程度で可能である
・コンシューマの今使用のテレビがバーチャルサラウンド機能内蔵の人もいるのでは?
・4:3テレビが根強く多い、寿命はまだ続くか
・テレビ内蔵SP->2ch->2.1ch->5.1chとデモすると、どんどん好感度が上がる
・聴覚障害の方には字幕放送を、視覚障害の方にはサラウンドを
・Cスピーカのナレーションのみを音量調節できるので、聴覚障害のある方にも優しい

Panelist4.瀬川英史さん CM音楽作曲家
・海外から機材は入ってきて日本も同じだが、ワークフローは入ってきていない
・サウンドプロデューサがいないから、音楽とSEの関連性を予測しながら作るしかない
・サラウンドの場合、定位や配置を想定した作曲をする
・サラウンド制作のための機材はあるが、できる人間がいるか?今日明日にサラウンドの仕事ができるか?
・アメリカでの効果的なサラウンドCMは、メロディー重視でなく台詞も少ないが、日本ではメロディーがないと音楽が汲み取れない。ハーモニーのセンスの違いか?
・作曲家やサウンドエンジニアはサラウンド環境を用意して、勉強するべきだ

Panelist5.須賀和男さん 雑誌「コマーシャルフォト」編集部員
・「フィルム・トーン」が好まれ、CMの60パーセントが35mmフィルムで撮影されている
・1990年まで16mmプリント納品で、音質はAMラジオ以下でモノラルだった。音は映像のおまけだった
・1990年代にデジタル映像の進化により、フレーム単位でいかに詰込めるかというやり方に。現在のワークフローが確立した
・HD時代の新しいCM表現の方向性。デジタルシネカメラや「新・高画質感」の開拓
・5.1chサラウンド音を活かした表現の開拓
・この機会に新しいチャレンジが必要なのでは。このままではCMが最新のものでなくなってしまう

Closing.沢口真生さん
サラウンドクルセーダーですので楽しい話をします。
・1ソースマルチユースへと展開しコストを分散、そのためにワークフローを見直す / 歴史の長い、海外の(映画の)ワークフローが参考にる
・デジタルをキーワードに(新しい人種、新しいビジネスモデルなどの)クロスオーバーが必要 / WEB制作者やゲームの世界では、すでにサラウンドで新しい世界を切り開いている。
放送からさらに発展するために、サラウンドが1つのキーワドになればと思います。
プレゼンターのみなさんありがとうございました。
By.{Nemoto}@surround2011.org

サラウンドCM研究会
アップリンク(札幌の5.1chサラウンドスタジオ.音楽スタジオ)
up-link STAFF BLOG@Inter BEE
コミュニケーションをデザインするための本 (電通選書)
クロスイッチ―電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた
急な話ですが、、、@雑感な日々(瀬川英史さんのBlog)
事例:瀬川英史様 自由な発想のICON活用法
ピッカピカの一年生@YouTube(須賀さんのプレゼンで新しい技術を使っての制作の例として / 会場では別バージョン)
PiKAPiKA project TV Ad 光でハッピー篇@YouTube(須賀さんのプレゼンで新しいチャレンジの例として)
PiKAPiKAの作り方:PiKAPiKA×So-net project
サラウンド寺子屋

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