August 21, 2006

サラウンドロケーションにおける可能性と小さな問題 VOL3

前回の引き続き下見の話と、今回のプロジェクトにおける、
テストレコーディングについて、今日は書いてみようと思います。

まあ、下見下見といって、大手を振って、
予算を計上して下見に行けるプロジェクトだけでなく、
『自分が必要なだけ、必要な部分について確認する』
この当たり前なことが、やはり重要だと思います。

私がつとめ人をしていた時に、局外中継出身のある先輩が、
こういいました。
『確認は何度してもOK』
それまでスタジオにいた私は、なるべくなるべく、
ミュージシャンや、スタッフ間の雰囲気作りや、
必要の無い、言動&行動をさけることにより、
大きなセッションの流れをつくる。
こんな仕事のをすすめかたをしていたのですが、
ライブレコーディングでは大きく違いました。

そこで確認しなければ、あとは、
いつ本番が始まってしまうかわからない。
問題が有れば、必ず今追求し解決すること。
そして、不安があれば、必ず、確認する。

さっき生きていたマイクが、今死んでいる。

それは、下見の時も同じで、今思いついた、
収録上の不安な面、又は斬新なアイデアは、
もう次、いつ気づくかわからない。
しかも、忘れてしまうかもしれない

そうであれば、必ず確認する。
これは、どんなセッションにも通じることだと思いますが・・・。

仕事柄、
ちょっと通りかかったカフェ、
巨大な野外スペース、
様々なホール・スタジオ

少しでも演奏の可能性がある、場所に出会ったとき、
必ず想像します。

『ここで、演奏・録音・SRをしたらどんなことになるのだろう?』

いつも、そんな事考えながら生きてるのですか?
と聞かれたら、『そうです』と答えちゃいますね。
放送局を飛び出し、スタジオを持たない私の性分だと思いますが・・・。

ここで、サラウンドについて、重要なことがある気がします。

2チャンネルステレオの世界では、
必要な音と不必要な音の、『音のカブリ』すなわち、
アイソレーションが、問題になりますね。

聞き取りづらくないか?
他の音にマスクされないか?
音楽を乱すような音が存在していないか?

しかし、よく考えてみると、
人間普段から、自分についている耳は、
指向性があるようで、無いようで、意識を持って聴こうとすれば、
よく聴こえたり、聴こえなかったり・・・。

言いたいことは、下見で聴いたまま、
あたかも自分の耳で聴いたままの感じを表すのに、
サラウンドは非常によくできたメディアだと思います。

ステレオでは、そのいれ物の制限上、
よく聴こえたり、聴こえなかったりがあります。
サラウンドではその音源の方向性、すなわち、スピーカでリスナーと囲み、
立体的な音場を再現しようという、システムそのものが、
いわゆる、『聴いたまま』の、リアリティの1段階目に、
非常に近い感じがするのです。

そう、人間生まれた時から、そして、もっともっと前から、
後ろからも音は聴こえているし、
音は決して前からだけでているのではない。

これに、気づくまで私は相当疑心暗鬼になってました。

『音が後ろから聴こえることの不自然さ』

サラウンドが、小さな小さな問題を持っていることの一つに、
後ろから聞こえる音の違和感だと思います。

ですが、下見の時も、今皆さんが、このブログを見ている時も、
音は前からだけでなく、後ろや、上や、左右からも聴こえてますよね。

音そのものの方向性の意識改革をすることから、
違和感の払拭になると思います。

それは、もう既に皆さんは、サラウンドの収録に関しての下見というか、
立体音場の感覚の体験を、自分の耳でしてますよね。
ですから、そのまま、その音楽の感動を伝える手助けをすれば良いのです。

今回の池上氏のテストレコーディングは、都合3回。
また、ライブハウスでのサラウンドレコーディング
フィールド調査として、4回?

少し、字数が多くなったので、次回に、テストレコーディングのお話をします。
では、また。
M−AQUA

No comments: